演題一覧

  • 座長:松原知康

    演題 1
    軸索型ニューロパチーを伴った常染色体優性遺伝性ミオパチーの1家系例
    1) 獨協医科大学病院 脳神経内科、2) 国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第一部、3) 国立精神・神経医療研究センターメディカルゲノム・センター ゲノム診療開発部
    濱口 眞衣1),国分 則人1),駒ヶ嶺 朋子1),青木 怜佳1),平田 幸一1),西野 一三2) 3)

    軸索型ニューロパチーを合併し,Charcot-Marie-Tooth病との鑑別を要した成人発症BAG3 related myopathyの親子例を経験した.発端者は43歳男性で,34歳頃よりつま先立ちに困難を感じるようになった.43歳時には階段昇降に手すりが必須となったために受診した.神経学的所見は,下肢遠位筋優位の筋力低下と下肢の腱反射消失を認めた.また,足趾に温痛覚および振動覚の低下を認めた.神経伝導検査では脛骨神経に複合筋活動電位振幅の低下,腓腹神経に感覚神経活動電位の低下を認め,軸索型ニューロパチーの所見であった.血清CK値は659 U/Lだった.筋画像では,大腿屈筋群,特に半腱様筋に強い萎縮・変性を認めたほか腰部傍脊柱筋の萎縮が顕著で,筋の選択的罹患分布からミオパチーを疑った.針筋電図では,右外側広筋と右前脛骨筋において線維自発電位,陽性鋭波がみられ,運動単位電位の動員は保たれる筋原性変化の所見であった.左外側広筋の筋生検では,rimmed vacuoleを伴う筋原線維構造変化を呈し,筋原線維ミオパチーを認めた.68歳の母は40代より下肢の脱力と感覚障害を呈し,50歳時に軸索型ニューロパチーを指摘された.母・本人の遺伝子解析にてBAG3遺伝子にヘテロ接合体変異(p.P470S) を認め,BAG3 related myopathy (myofibrillar myopathy-6, MFM6)と診断した.本症は,軸索型ニューロパチーを合併する事が知られており,診断に際し注意を要する.

  • 座長:駒ヶ嶺朋子

    演題 2
    VCP G128A変異を伴う家族性筋萎縮性側索硬化症の1例
    1) 東京都健康長寿医療センター 神経内科・神経病理(高齢者ブレインバンク), 2) 微風会ビハーラ花の里病院 神経内科, 3) 徳島大学病院 神経内科, 4) 国立病院機構広島西医療センター 神経内科, 5) 国立病院機構広島西医療センター 臨床検査科 , 6) 広島大学 原爆放射線医科学研究所 分子疫学, 7) 国立精神・神経医療研究センター 臨床検査部
    松原 知康)1, 和泉 唯信2,3, 織田 雅也2, 渡辺 千種4, 立山 義朗5, 森野 豊之, 6 川上 秀史6, 齊藤 祐子1,7, 村山 繁雄1

    【症例】死亡時68歳男性
    【家族歴】母親が筋萎縮性側索硬化症と診断され、66歳で死亡
    【既往歴】11歳時、口蓋腫瘍に対し放射線治療
    【現病歴】62歳時より歩行時に左足のつまずきが増え、左足をひきずって歩くようになった。63歳時、左上肢の筋力低下が出現し、痙性も認めた。構音障害、嚥下障害、臥位での呼吸困難が加わり、胃瘻造設、非侵襲的人工呼吸管理を行った。64歳時には歩行困難寝たきり状態になった。診察所見では、眼球運動は保たれていたが、嗄声、四肢では左優位の著明な痙性を認め、下顎反射亢進、四肢腱反射亢進を認めた。家族性筋萎縮性側索硬化症と診断し、遺伝子検索にてVCP遺伝子G128A変異が判明した。その後、疎通は保たれていたが、徐々に保続傾向と介護抵抗性を認めた。68歳時、全身状態悪化し、死亡した。(全経過6年9ヶ月)
    【病理所見】死後14時間40分で剖検。脳重は1,430g。肉眼的には、前頭葉優位に軽度の脳萎縮を認めた。組織学的には、中心前回Betz細胞の減少を認めた。脊髄前角細胞および脳幹運動神経核は比較的保たれていた。また、髄膜脳炎の所見を認めた。抗リン酸化TDP-43抗体免疫染色で、前頭葉、特に中心前回に、小型神経細胞優位に多数の釣り鐘型の細胞質内封入体を認めた。脳幹運動神経核、脊髄前角細胞ではリン酸化TDP-43免疫染色の陽性所見は目立たなかった。大腿四頭筋は高度に萎縮していた。一方、上腕二頭筋では、筋線維の大小不同は目立つが、軽度の群集萎縮を認めた。rimmed vacuoleは認めなかった。
    【考察】VCP遺伝子G128A変異を伴う家族性筋萎縮性側索硬化症の一例を経験した。臨床的に上位運動ニューロン障害が著明であった。病理学的にも上位運動ニューロンでの封入体の出現が高度であり、下位運動ニューロンでの所見は軽微であった点が特徴的であった。


  • 座長:﨑山 快夫

    演題 3
    右上肢筋萎縮・筋力低下,拡張型心筋症を呈する59歳男性
    1)東京大学脳神経内科 2)国際医療福祉大学 3)東京工科大学医療保険学科
    久保田 暁1,鵜沼 敦1,石浦 浩之1,辻 省次2, 清水 潤3, 戸田 達史1

    症例は59歳男性.物心ついたころから右上肢が細かったが,中年期まで運動は出来ており日常生活困ることは無かった.50代になってから右上肢の筋力低下のため日常生活に支障を来すようになり,55歳時に心肥大を指摘された.59歳で心不全,拡張型心筋症と診断され,当院循環器内科受診.心移植も考慮される状況であった.血清CK 800-1800 U/Lと高値であったことから当科紹介.神経学的には右上肢に顕著な四肢筋力低下・筋萎縮を認めた.後日、診断がついたが・・・

  • 座長:久保田暁

    演題 4
    抗ミトコンドリアM2抗体陽性で既知のFAT1遺伝子変異を有し筋ジストロフィー様の筋萎縮・筋生検所見を呈し心肺合併症にIVIgが奏功した47歳女性例
    1)自治医科大学附属さいたま医療センター 脳神経内科  2)国立精神・神経医療研究センター病院 脳神経内科  3)国立精神・神経医療研究センター神経研究所 疾病研究第一部
    北村 明日香1),高橋 朗子1),瀬戸 瑛子1),眞山 英徳1),堤内 路子1),大矢 寧2),西野 一三3),﨑山 快夫1)

    症例は47歳女性.出生,発育に異常なく,家族歴に類症なし.X-10年に動悸,呼吸困難が出現した.X-3年,持続性心室頻拍,心室細動に対し植え込み型除細動器移植術を施行され,心臓MRIで心筋症が疑われた.その後,筋力低下を来し筋ジストロフィーが疑われ,X年7月に当科紹介初診.血清CK 591 U/L,四肢近位筋優位筋力低下,筋CTで傍脊柱筋,膝屈筋群の萎縮を認め,針筋電図では右三角筋,上腕二頭筋,大腿四頭筋で筋原性変化がみられた.左上腕二頭筋生検では,壊死・再生線維を認めたが炎症細胞浸潤に乏しく,非壊死筋線維膜上へのMHC class Iの発現亢進もなく,筋ジストロフィーの所見として矛盾しなかった.また,抗ミトコンドリアM2抗体陽性で,筋炎の合併が疑われた.9月,心不全で当院循環器内科に入院.10月,2型呼吸不全で当科に入院,人工呼吸器管理となった.筋炎に対してステロイドパルス療法を施行したが,呼吸不全は改善せず,免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)を追加し,人工呼吸器離脱に至った.後に遺伝子解析で,プロトカドヘリン遺伝子FAT1の既知の変異が判明した.

  • 座長:国分則人

    演題 5
    脳幹出血により死亡したギラン・バレー症候群の70歳男性例
    1) 徳島大学病院 神経内科 2) 東京都健康長寿医療センター 高齢者ブレインバンク 3) 亀田メディカルセンター 脳神経内科
    山上圭 1、3)、 元田敦子 2)、 山崎博輝 1)、 和泉唯信 1)、 村山繁雄2)

    【症例】死亡時70歳男性。
    【既往歴】多発性骨髄腫(Ig-Gκ型、StageⅢA)に対し57歳時に自己末梢血幹細胞移植を行った。その後寛解と増悪を繰り返している。
    【現病歴】X年7月初頭にサイトメガロウイルス腸炎を発症し化学療法を中断していた。X年7月末に両上肢の痺れと脱力が出現、進行したため第3病日に入院した。神経伝導検査で脱髄所見を認めギラン・バレー症候群と診断、入院当日よりガンマグロブリン静注療法を開始した。第4病日に立位不可能となった。第6病日に嚥下・構音障害、自律神経障害が出現、第15病日に呼吸困難となり緊急挿管、気管切開を行った。第17病日及び第33病日よりそれぞれ2、3クール目のガンマグロブリン静注療法を行った。第39病日に脳幹出血を発症、第40病日に死亡した。

  • 座長:三方崇嗣

    演題 6
    声帯外転麻痺による突然死が疑われた多系統萎縮症の一例
    1)国立精神・神経医療研究センター 臨床検査部, 2)国立精神・神経医療研究センター 脳神経内科, 4)国立精神・神経医療研究センター 精神科,5) 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 疾病研究第一部, 6) 東京都健康長寿医療センター 神経内科・神経病理(高齢者ブレインバンク)
    水谷 真志1, 阿部 弘基2, 藤井 裕之3, 大町 佳永4, 佐野 輝典1, 向井 洋平2, 西野 一三5,村山 繁雄6, 佐藤 典子3 , 髙橋 祐二2, 齊藤 祐子1

    【症例】死亡時59歳男性
    【家族歴】類症なし.父(87歳)は認知症を指摘されていた.
    【既往歴】11歳 虫垂炎(手術)、29歳 顎下腺結石(手術)
    【現病歴】47歳時に浮動感と意欲低下を一時的に認めた。53歳時に同症状が再発し、ふらつき、歩行時の左への傾きが出現しうつ病と診断された。55歳時に右足跛行が出現。56歳時より方向転換時に転倒するようになり、歩行器使用を開始した。A大学病院神経内科にて小脳性運動失調と歩行障害、自律神経障害を指摘された。57歳時に当院神経内科に転医し、パーキンソニズムを認め多系統萎縮症(MSA-P)と診断された。PSGで中等度SASと診断されCPAPを導入した。59歳時、当院耳鼻科にて右側声帯の外転不良を指摘された。同年3月4日40℃の発熱が出現し、夜間に強いstridorが出現して呼吸不全となり翌日未明死亡した。(全経過6年)
    【病理所見】死後27時間50分で剖検。<一般病理所見>全身臓器に高度うっ血を認める。死因につながる器質的病変は見られない。<神経病理所見>脳重は1290g、小脳+脳幹は111gで肉眼的に小脳と脳幹の萎縮を認めた。組織学的には黒質線条体系、オリーブ橋小脳系に同程度のグリオーシスとGCIを認め、錐体路系と自律神経系にも変性所見がみられた。脊髄にもGCIを認め、C4の前角細胞は減少していた。<末梢神経・筋病理所見>(横隔膜、咽頭前筋/後筋、上腕二頭筋、腸腰筋、大腿四頭筋を採取)横隔神経は神経線維密度の低下を認め、横隔膜にはtypeⅡatrophyを認めた。咽頭筋では前筋は保たれていたが、後筋に群集萎縮とfiber type groupingを認め、神経原性変化による筋委縮が疑われた。
    【考察】本症例では生前に声帯外転麻痺が指摘され、剖検で後筋優位の神経原性筋委縮を認めた。MSAにおける窒息による突然死の一部は声帯外転麻痺であることは既に報告されているが、これを筋病理で確認することは重要と考え報告する。



  • 座長:村山繁雄

    特別講演
    福山型筋ジストロフィーのすべて
    東京大学大学院医学系研究科神経内科学
    戸田達史

    福山型筋ジストロフィーのすべて